グラレコで、つなぐ

コーディネーター

<インタビュー・野際里枝さん>

グラレコのベースは、子ども時代から社員時代に培う

子どもの頃から、ノートなどに書いて覚えるタイプでした。受験勉強のときは塾に行くと、「先生、ちょっと黒板を貸してくださぁ~い」とお願いし、チョークを使って書いて暗記したんです。絵を描くのも好きで、自分にとって当たり前のことでした。

 

大学で教員免許を取り、卒業後に小学校の教員になっています。授業の準備では、1コマ45分の間、黒板にどんな情報を書き込んでいくかの「板書計画」を立てました。子どもたちは、ノートとか本人の手とかにちょっとしたキャラクターをかいてあげると、ものすごく喜ぶんですね。だから黒板でも大事なところは、キャラクターをかいて吹き出しをつけて「言わせる」。

 

学校は3年で退職し、会社に勤めます。カタログ制作会社で、企画から納品まで管理するディレクターをやってました。納品指示書がありまして、通常は文字で書くんですが、私の上司は「絵でかくと、事故がないよ」って。それで制作物の梱包の仕方や荷の積み方などを図示すると、やはり間違いがない。また、企画の段階でお客さんのところへ行き、打ち合わせの内容をその場で簡単なイラストにすると好評でした。

 

文字プラス絵があると、伝わりやすくなるという経験がずーっとある。その辺りが、私のグラレコのベースかなぁと思っています。

 

「グラレコ」という言葉を知ったのは、フリーランスになってから。私が文字と絵でまとめる様子を見て、ある人が「それって『グラレコ』って言うんだよ」と教えてくれて、「そうなんだぁ」と(笑)。以降、コーディネーターの仕事で意識的に使うようになりました。グラレコの本というよりは、コーチングなど本を読んで会議の進め方など学び、その技法を取り入れていきました。…ほかのコーディネーターで使う人? おられますが、足立区ではそんなに認知されていないかな。

 

「何がしたいか」とことん模索したフリーランス前史

10年勤めた会社を辞めてから、フリーランスとしてやっていくことを決意しました。「自分は何がしたいのか? 何ができるのだろう?」と自問し、なんでも挑戦したメチャメチャ手探りの時期があるんです。

 

最初、自分と同じ立場のママたちを応援したいなと、美容系を目指しました。私の人生の中で「美容」という言葉がないので、かえって興味を持ったんです。全然知らないところに溶け込むのは得意ですし、勉強するほど発見があって楽しかった。しかしそのうち、「なんで私がこの世界にいるんだろ?」と、自分を客観視するほどに笑えてきて。ケアするお客さんと一対一でかかわるのも苦手でした。ずーっと固定された場所にいる、同じことをする、というのが元々得意ではない。それで辞めました。はい。

 

料理教室もいいかなとトライしましたが、私、料理が好きじゃなかった(笑)。家庭科の教員免許を持ってるんですけどね。

 

地域のキーパーソンを巡っていたとき、コーディネーターに出会う

そのうち、人材紹介を手がけることに。人の中にいるのが好きだし、人とつながっていくのが楽しいなぁと。新しい雇用や価値が生まれることに携わりたかったんです。

 

主に飲食関係でしたが、そこに特化して人材紹介をされている方と一緒に仕事をしました。紹介したお客さんがまた別の方を紹介してくださるという感じで、広がっていきまして。人材紹介といっても分野ごとに詳しい方がおられます。「飲食関係はここですが、IT関係はそちらに相談してください」などと紹介するうち、別の業界とのつながりもできてきました。

 

さらに、個人事業主を応援したいということで事務チームをつくったり、プロジェクトを数人のメンバーで立ち上げたりも。

 

同時期に、子どもが生き生き暮らせる地域づくりにもかかわりたいと、足立区内のいろんなキーパーソンの方に話を聞きまわってもいました。巡っているうちに、あるコーディネーターの方に出会います。仕事内容をうかがうなり、「あっ、私、これやりたい!」と思わず口にしてしまったんです。即座に「どうしたらできますか?」と尋ねたら、本当にいろいろつないでくださって(笑)。

 

やがてヤオキン商事、足立区NPO支援センターのコーディネーターとして入りました。この仕事は、続けるほどに人脈が広がり、さまざまなところから声がかかるようになります。千葉県の我孫子市や柏市、山梨県からの仕事もそうでした。

 

足立での子ども支援活動に共感してかかわる

あだち子ども支援ネットの大山光子さん(vol.15)に出会ったのは、コーディネーターになる前です。地域のみなさんが、「会わないといけない人だ」と言われるので行きまして。なんだろ、やっぱり懐が深い~人で、やっていることにすごく共感したんです。私の子育て観というか、地域での教育、子どもが育つ環境についての大山さんの考えが一番しっくりする。それで何かお手伝いできないかなぁと、会の冊子の編集や、コネクトリンク勉強会でグラレコをやらせてもらったりしています。

 

大山さんのところでやる面白さは、本当にざっくり投げてくれ、「あとはお好きなように」みたいな。だから、私の解釈を付け加えられ、「こんな風な目的で」「こんな企画で」と提案し、進めていける。いつも大山さんは「それでいいよ」と。「違うよ」って言わない。たしなめられたときもありますが、ビシっと的確に。チャレンジできる場をくださる。それがすごいなって。

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