アート×哲学で、「対等とは?」

アート

ルポvol.50 【アート×哲学】

 

上下関係は、普段楽である。自分が「下」であれば、「上」にすべて任せればいい。しかし「上」が理不尽を押し付けるとき、つらい。度が過ぎれば、人格を踏みにじられる。世の中のパワハラ、いじめから、大きくは戦争まで、強い「上」が弱い「下」を押しつぶす。しかも立場が逆転すると、今度は自分が同じことを無自覚にやる。この不均衡の関係こそ、あらゆる問題の発生源ではないか。人と人との関係は、「対等」であるべきだ。それは親子の関係においてもしかり…。

 

自分が子どもの頃を思えば、世の中は少しずつ「対等」の方向に向かっている。しかし、その意味について、案外深く考えたことはない。だから、「足立区NPO”やわらかアートアカデミー”」代表の「ススギミ先生」こと鈴木公子さん(vol.27)から、「対等」をテーマした展示会にちなむ座談会を取材してほしいと声をかけられたとき、さすがだなと思う。アーティストは、やはり時代の芯をつく。

 

足立のキーパーソンたちが大集合!

みんなが「対等」になれば、すべての人も世界も平和になる。そんなメッセージを込めての展示会「We are all  equal! (私たちはみんな対等)」は、9月9日)~10月13日にて開催。場所は、「OUCHI」(足立区西新井)。大内病院近隣に建つ、精神障害を持つ人が地域に戻るためのサポートをする障害者福祉施設(就労継続支援B型施設)だ。座談会は、10月3日、展示会場である同施設のカフェで行われた。

 

集まった人たちが、足立区内外で活躍される多士済々。

 

鈴木さんは、本会の企画者。上記のNPO代表で、「ビシャバシャアート」など子ども向けの楽しいアートイベントや、アートを学ぶ「やわらかアートアカデミー」も開催。また、ぬいぐるみ愛が高じて、ぬいぐるみのお客様をもてなす「やわらかん’s café」も主催!

 

岡井和弘さんは、「足立の哲学者」。「哲学かふぇParam風」を開かれたり、子どもの居場所「らんたん亭」のスタッフを務める。また、あだち子育て環境向上委員会で、地域の子どもや子育てママを応援。今回の企画は、鈴木さんの作品を見た岡井さんの感想がきっかけに。

 

「OUCHI」からは、水戸抄知さん、神佑摩さん、根本智皓さんが参加。「平成医療福祉グループ 介護福祉事業部」の職員さんたちである。水戸さんは自身の子育て経験から、実感のこもったコメントを発言。神さんは主に職場のこと、根本さんは学生時代の経験から「対等」を論じる。

 

改田友子さんは、「タビスルオヤコ」として本ブログ(vol.47)にて紹介。「こそだて喫茶cotoca」を創業後、マルタ共和国に親子で移住。帰国してから、娘さんはホームスクーリング。「社会通念」を脱した子育て観を語る。10月より、cotoca跡地でご主人が「東京千住・ヰヱ(イエ)」オープン。

 

大島俊映さんは、足立区古千谷本町にある「全學寺」の副住職。足立区・荒川区の物語を届けるWebメディア「トネリライナーノーツ」の編集長として、地域で活躍する団体や人を紹介。子どもたちへの食事支援プロジェクト「にぎりむすびギフト」も創設。コミュニティづくりの実践者としての発言が貴重だ。

 

アートと哲学がコラボして織り上げた「言葉」

座談会は、まるで色彩豊かなタペストリーのように編み上がった。

通常の座談会と比べて新鮮なのは、まず「対等」に対するイメージが、鈴木さんのアート作品を通して共有されたこと。そこへ一つの運動が加わる。「対等は善である」という鈴木さんの立場を、「そうかな?」と問う岡井さんの哲学的思考が常にひっくり返すのだ。議論がどんどん動いて、展開していく。異分野の人たちが、一つのワードについてとことん話すことは、こんなに面白いものかと思う。さて、「対等とは?」。

 

(座談会は、2023年10月3日、OUCHI内のカフェにて行った)

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