心ゆらし、母子支え

母子支援

 

ルポvol.13【母子支援1】

ガラリと会議室の戸が開く。「ごめんなさい、 カンファレンスが長引いて遅れます!」と詫びる声に顔を向けると、母子支援員主任の橋本久美子さんの姿。廊下を歩き指定の部屋に向かう私を呼び止める表情が、切迫している。母子生活支援施設「ポルテあすなろ」(足立区六月町)にうかがったその日も、のっぴきならない人間ドラマが展開されていた…。

 

子育てから依存症まで、女性を丸ごと支える

橋本さんは、お母さんたちが、どんなに重い悩みを打ち明けても、丸ごと受け入れる。そして、「そんなこともあるよねぇ」と寄り添うソーシャルワーカーだ。母子支援員として勤務しながら、「風テラス」にかかわり、風俗で働く女性の生活相談も受けている。女子刑務所では、女性受刑者に向けたアルコール離脱講座などを行い、更生に導いている。

 

一方で「ポルテあすなろ」がホールを開放して地域交流する「ポルテホール事業」の事務局も務める。地元NPO法人や団体のイベント、地域食堂(ルポvol.7「”がきんちょ”食堂」にて詳述)などの楽しい催しが、いつも目白押し。またそこにかかわる人や専門家が集まる「コネクトリンク勉強会」(偶数月の第2火曜日開催)の要にいるのも橋本さん。独自のネットワークで呼びかけた人たちが、みんな面白いから、勉強会は毎回盛り上がり、スパークする出会いが生まれる

 

活動の幅が、とにかく広い。そんな橋本さんに話をうかがうと、取材予定していたテーマの「ポルテあすなろ」の範ちゅうをすんなり超えていく。「風テラス」や刑務所の活動にも話題が及ぶ。

 

名ソーシャルワーカーは、袋小路に佇む母子たちを、どう支えてきたのか。

 

(橋本久美子さんへのインタビューは、2020年12月21日に行いました)

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