グラレコで、つなぐ

コーディネーター

 

ルポvol.31 【コーディネーター1】

椅子から腰を上げようとしたとき、スマホに着信音。手に取ると、受信機向こうのN-style(エヌ-スタイル)代表の野際里枝さんが、息せききって話し出す。「今、待ち合わせの喫茶店に向かっていますが、近くにちょっといい場所を思いついて、どうかなと…」。約束の25分前だった。

 

紹介されてたどり着いた場所が、五反野駅前の多目的スペース「8knot」。オープン1カ月の無料期間で、木のテーブルがある広く静かな個室が早速手配されていた。喧騒の喫茶店で取材するより断然いい。今後、別の機会に使えるなと思う。しかも、たまたまホールで仕事していた「Code for Adachi」代表の村上武士さんを紹介もしてくれた。

 

野際さんは、根っからの「つなぐ人」である。

 

イラストと文字で、会議まとめる「グラレコ」の威力

初めてお会いしたのは、1年半ほど前の「コネクトリンク勉強会」(子ども支援にかかわる地域の団体・専門家・住民が集まる会)だった。裏方に徹し、きびきび動く女性スタッフという印象。壁に貼った模造紙にマジックインキで、円陣を組んで座る30人ほどの発言や議論を、次々と手際よくイラストと文字でまとめてく。キュートに描かれた発言者の顔から吹き出しが出て、コメントが端的に書かれる。発言内容の図解も適宜挿入。多様な意見の関係図がみるみる浮かび上がり、議論の内容が一目瞭然に。「グラフィックレコーディング(通称「グラレコ」)」という記録方法で、初めて身近で見る。その分かりやすさに舌を巻く。

 

「あだち子ども支援ネット」代表理事の大山光子さん(vol.15)より、このブログの冊子化を提案していただき、編集を快諾されたのが野際さんだった。打ち合わせの場所が足立区NPO活動支援センターだったことから、そこで市民と団体をつなぐコーディネーターをされていることを知り、「あれっ?」となる。本職はデザイナーさんだと思い込んでいたからだ。以後、このルポの企画でも、足立区内のキーパーソンを何人も紹介してもらった。

 

いろんなエリアを自在に飛び回る「つなぐ人」

そのうち野際さんが、足立区だけでなく、千葉県我孫子市・柏市、出身地の山梨県など、いろんな地域を行き来するフリーランスのコーディネーターだと知る。

 

「グラレコ」と「コーディネーター」は、いったいどう関連するのか、急に聞いてみたくなる。取材依頼してうかがうと、両者はまさにつながっていた。そして生きざまにも。

 

(野際里枝さんインタビューは、2022年5月18日、8knotにて行いました)

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