「仕上げ磨き」は、15歳までやっていい

歯科

ルポvol.25  【歯】

歯科医師によるプロジェクト「はみがきあ~ん」

1歳の子どもが、かたく目をつむり、泣く。その小さな両手と体を、母親ががっちり太ももに挟んでいる。「はがいじめ…」という言葉が浮かんでくるが、心配ご無用。子の口に人生初めて入れられた歯ブラシが、繊細に、優しく動いているから。慣れてくると、心地よくなるという。

 

歯科の教科書にもない、このインパクトある「仕上げ磨き」を指導しているのは、歯科医師で「みどりの杜歯科クリニック」(府中市)の副院長・宮田滋子さん。「はみがきあ~ん」プロジェクトを掲げ、イヤイヤ期の子どもの正しい歯磨き法や、歯に関する知識を、親子に伝えている。その内容は、医院長の宮田敬史さんと経営する同クリニックが推奨し、啓蒙するものだ。2人は「虫歯のない社会」を目指す。当然、本プロジェクトも同じ。この目標を本気で掲げる歯医者さんは、稀有な存在である。虫歯があって経営が成り立つ歯科業界であるからだ。

 

歯磨きを入口とした「しつけ」を、足立区にも

実は、開設以来10年間、お付き合いしている。冊子づくりでご縁が始まり、以来、同クリニックの変遷を見守ってきた。虫歯や親知らずを治療してもらい、提唱される正しい歯磨き法を叩き込まれ、私の歯は見事なほど健康に。口内は常に清潔で、毎回の食事を輝く歯で噛みしめている。もし、歯垢のベタつく歯のまま中年時代を過ごしていれば、今頃は歯周病の餌食となり、口臭に悩まされ何本の歯を失っていたことだろう。大人となってからマスターするには、かなりの修練がいる。

 

「足立の子ども支援」というテーマで、もうかなりの人や活動を取材してきた。そんなある日、親しくしている人のプロジェクトが、ど真ん中の「子ども支援じゃないか」と思い至る。この府中の活動を、足立の人たちに紹介したって当然いい。「はみがきあ~ん」が伝える「仕上げ磨き」は、ただの歯磨き法ではない。「歯」を入口とした「しつけ」であり、親子の「スキンシップ」のススメであり、子育ての根本に通じていくことである。この歯磨き法がどんな考えに基づくどんなものか、滋子さんに改めて尋ねた。3人のお子さん(現在、高校1年女、中2男、小2男)や、子どもの患者さんへの実践に基づく話は、具体的で説得力がある。講座には追っかけファンのお母さんがいるほど。

 

現在、オンライン講座を展開しているが、コロナ禍が収まれば、府中市内外の施設で開催したいとのこと。もちろん足立区への出張も可。

 

(宮田滋子さんへのインタビューは、2020年10月22日に行いました)

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