施設の子と、泣き笑う“おせっかい”

児童施設

ルポvol.33【児童養護施設1】

進行役の女子学生が企画書を配り始める。「用意がいいわねぇ。めっちゃ成長した!」と声をかけるのは、染谷江里さん。「おせっかい子育てプロジェクト代表」というより、パッと場を明るくするみんなの「姉貴」という印象だ。

 

ここベビーアクセサリー店「T&E JAPAN」(足立区西新井)2階のイベントルームは、まるでカフェのよう。無垢板に敷かれた幾何学模様のマットもオシャレ。同店の経営者でもある染谷さんと、足立区内にある児童養護施設「クリスマス・ヴィレッジ」の卒園生、同施設の職員、文教大学学生の7名が、木のテーブルを囲む。大学との合同プロジェクトの企画書名は、「カメラで見つける私のアダチ!」。4月から月1回開催し、本日で3回目のワークショップとなる。打ち合わせの後、第1回目の撮影会を行うので、まず西新井駅周辺の地図コピーを広げて作戦を練る。大学生が「おススメのスポット、ありますか?」と尋ねると、土地勘のある卒園生は「ドラマの撮影スポットが」と提案。「そっち、攻めてみる?」と姉貴が勧めると、別の卒園生が「かなり歩きますよ」と笑う。

 

足立区の魅力を写真に収めて展示会を行い、その魅力を地元の人や観光客に伝えるのが目的。インパクトは必要だが、地元の人が見過ごしている穴場を自ら発見したい。結局、議論もそこそこに、若者たちは、スマホのカメラを手に西新井のあちこちに散っていく。後を任せた染谷さんは、別の用事で自身の子どもを迎えに店を出る。

 

つかず離れずの距離感がいい。

 

月1回、施設に出向いてワークショップを開催

「クリスマス・ヴィレッジ」卒園生と社会をつなぐ上のプロジェクトは、「おせっかい子育てプロジェクト」の新たなチャレンジの一つ。活動の基本は、月1度のペースで、施設に出向き、地域の人たちによるワークショップを開催し、そこで暮らす子どもたちと交流するというもの。

 

同会が設立した2021年5月以降、ワークショップのほか、「子どもビジネス学校」や企業とのコラボプロジェクトも開催。施設の子どもたちが、さまざまな職業で働く大人と交流することで、自分のやりたいことを見つける機会を提供してもきた。

 

これらの活動は、すべてボランティアである。続けられる秘訣は何かと、染谷さんへのインタビュー後、ずっと考えてみた。起業家としてのベースやバランス感覚は、もちろんあるだろう。それにもまして、ふーっと自然体の”おせっかい力”かなと。

 

(染谷江里さんインタビューは、2022年6月18日、T&E JAPANにて行いました)

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