「イスラム」視点で、 外国ルーツの子をサポート

外国人

ルポvol.14  【外国人2】

天とつながっている…。「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」という節に始まる礼拝(サラーム)への呼びかけの、朗々とした美声を街角で聞くと、いつもそう感じ、安らぎを覚えた。10年前、異教徒として、イスラム圏の国々を旅したときのことである。

 

「世界」を歩いた末の「イスラム」

2020年12月、ポルテホールでのコネクトリンク勉強会に参加したとき、たまたまワークショップの同じグループに、ヒジャブ(イスラム式のスカーフ)で頭を覆ったアマドゥ理和子さんがおられた。「ムスリム(イスラム教徒)として、日本に住む外国ルーツの子どもや家族を支援してます」と話すと、「あっ」となる。イスラム…。かねてから、この世界宗教が、人と社会を支える精神的岩盤となっていることについて関心があった。「子ども支援」と「イスラム教の信仰」が、どう結びつくのか? 支援者としての心のありようは? 社会との関係性は? など次々と質問が頭の中でよぎる。聞けば、アマドゥさん、YSCグローバル・スクール(母体は、NPO法人青少年自立援助センター )の「あだち・竹の塚教室」で日本語を教え、多文化コーディーターもされている。休憩時間に、すぐ取材依頼。

 

後日お会いして驚いたのは、知りたいと思った世界に、迷うことなく体ごと投げ入れ、存分に体験されていること。また、人生の挫折と修羅場を何度も潜り抜けた人だった。

 

若い頃から、海外を飛び回ったという。大学で農業を学び、世界各地の農地を訪問。卒業後、持病のアトピー性皮膚炎が大爆発して入院した日本の地方の病院に、「治療は最高だが、運営がなってない」と手紙で抗議したら、院長が「あんた、面白いから、うちで勤めなさい」と誘われ、組織改革のコーディネーター、またはカウンセラーとして勤務。退職後、インドのプネー大学に留学し、ヨーガを学ぶ。一時は、タイの寺院の尼さんになろうと思い詰めるも、気運なく断念。帰国後、20年間、高齢者に「スローエイジング」効果があるヨーガを教える。東京銀座で、「ノー!ヘイト」の活動にもかかわる…。イスラム教に改宗するのは、そんな紆余曲折の末である。

 

本文は、主にムスリムになる前後、改宗してからの活動・人生・考えについて記した。そこには、外国にルーツを持つ子や家族を支える上での、把握すべき現状、実際的な知見が盛りだくさん。「イスラム」の視点から、「本物のダイバーシティ」を考える貴重な証言となった。

 

(理和子さんのインタビューは、2021年2月5日、足立区内のレストランで行いました)

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