かつて学校は、おおらかだった

教育

 

ルポvol.27 【教育2】

リフォームの取材が一転、「学校」について

「なんの仕事をされていたのですか?」。この質問をしてから、話が大きくそれてしまった。

Hさんが、「40年間、東京都内で小学校の教師を」と答えたからである。ある工務店のリフォーム事例の取材でH邸を訪れていたが、建築の話は1時間で終わり、その後3時間、教師としての人生をうかがうことになる。

 

業務が雪ダルマ式に増え、学校の教師が疲弊していると、報道や取材でよく耳にする。実際はどうなのか。「学校」が、「子ども支援」の重要なプラットフォームになりえることに気づいてから、そのことはいずれ確かめたいと思っていた。インタビュー可能な先生を探していたところでの出会いである。

 

Hさんは、小学校の教師を務め、60歳での退職後、嘱託で5年勤務。それ以降15年間は、地域の子どもたちや大人の学習支援をされている。現役の教師とも親交があり、かつ半世紀の職務歴のあるその人の話は、今と昔の学校の違いを、実体験として鮮明に示す。

 

子どもたちに、とても慕われた女の先生であることは、すぐに直観した。語られるエピソードの数々が、珠玉の物語だからだ。ぜひ、記事にしたいと、その場で依頼。匿名にし、関係を特定しない形であればOKとのこと。とくに話の中の「生きもの先生」に親近感を覚え、こんな先生も素敵だなと思った。

「学校って、何だろう?」と、改めて考えてみる。

 

(Hさんインタビューは、2020年10月、都内のご自宅にて行いました)

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