みんなで使う「実験のイエ」を

教育

ルポvol.55 【地域活動】

 

「東京千住・ヰヱ(イエ)」で、自給自足を

台状の椅子の下に、真新しい蓋付バケツが2つある。問えば、コンポストトイレだと改田昌寛さん。便を微生物で分解して土にするそのトイレを、これから試すのだそうだ。

 

温和な雰囲気が漂うその人は、「東京千住・ヰヱ(イエ)」管理人で、改田家の「おとう」。ヰヱは木造家屋2階建てで、「北千住マルイから徒歩7分」の場所に建つ。コンセプトは、「共同で使うみんなの家」。そしてこの大都市のど真ん中にミニ生態系をつくり、「自給自足の生活」を目指すとのこと。100%ではないにしても…。

 

わが子の「学びの場」としても

昌寛さんのパートナーである「おかあ」は、以前本ブログで紹介(vol.47)した改田友子さん。「タビスルオコ」でコンビを組む一人娘の結ちゃん(小学4年)の母だ。改田一家の活動は、わが子へのユニークな教育が軸に。2024年10月にスタートした「ヰヱ」は、「おとう」のやりたいことを実現する場であると同時に、娘さんの大切な学びの場にもなっている。ちなみに建物は、「おかあ」が祖母から譲り受けた生家。

 

結ちゃんが、地元の小学校に通い出したのは、小学3年の1月から。通学は不定期で、本人次第だ。改田家が選択した学習スタイルで、基本を「ホームスクーリング」としているため。「不登校」ではない。加えて「ヰヱ」が講師を招いて開催する「シュタイナーアプローチ講座」で、ほかの子どもと共に算数とアートを学び、感性を伸ばす。また、ここの多様なイベントに参加する大人や子どもたちとの交流で、人間力を大いに鍛えている。小学校に入学する直前に、一家で移住したマルタ共和国で、世界中の人たちと友だちになるスキルも得た。帰国して1年間は、宮崎県でオルタナティブスクールに通い、自然を体験。結ちゃんは、日々豊かな学びを満喫している。

 

「おとうレンタル」で告知

教育パートを担当するのが「おかあ」とすれば、環境パートの担当は「おとう」と言ってもよいかもしれない。その環境である「ヰヱ」の周知と資金集めのため、現在、いろんなことをしている。「おとうレンタル」は、まさにそう。家事代行、子どもと遊ぶ、カタコト英会話、バトミントン、家族海外留学体験・相談、宇宙真理お話会、トゥクトゥク送迎・配達…ほか、あらゆる用事を、1時間1000円で請け負っている。融通無碍な人だ。

 

「トゥクトゥクって?」と気になる人がいるはず。喧騒のアジアの街を走り回っている三輪タクシーで、改田家の自家用車。東京の繁華街を走れば、どこかほのぼの面白い。実は、本記事がアップされる頃には、一家はトゥクトゥクに乗って、日本横断の旅に出ているはず(5月20日出発)。帰ってきたら珍道中のネタを、「ヰヱ」に集うみんなに披露してくれることだろう。

 

改田家・おとうの人生をたどると、流されてるようで、要所要所は果断に決断。うかがえば、世の「あたりまえ」がみるみる溶けて、自由な気持ちになってくる。

 

(改田昌寛さんのインタビューは、2024年2月20日、「ヰヱ」にて行った)

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