「ヰヱ」で、「家族」というを単位を壊してみる
前みたいにお店をやると、家族で旅行もしにくくなり、自由が利かない。新しいこともしたい。それで今の「ヰヱ」のスタイルになりました。立ち上げて半年になります。イベント内容は、おかあと僕とで考えたものだったり、他の人の持ち込み企画だったり。
「ママさんの共同暮らし」は、子育て未経験のママが経験者のママと、ここで合宿して子育てを学ぶというもの。「子育ては自分一人で」というのではなく、みんなでやればいい。誰の子どもであっても、成長していく大切な存在だから、大勢で守ってあげなくちゃけいない。「家族」という単位をつくったから、子育てがしんどくなってる。その単位が壊れてもいいんじゃないかな。身内が中心でしたが、知らないお母さん同士も来られ、30人ほどの参加となりました。
僕自身を貸し出す「おとうレンタル」では、いろんな仕事が来ています。先日は、スズキミ先生(vol.27)のところで、絵のモデルをやりました…いえ、ヌードじゃなくて(笑)。知り合いのお子さんの面倒を見るというのはよくあります。知らない保育士さんより、親しい人に任す方が安心なわけです。資格がなくてはできない、ということじゃないと思う。信頼関係でできるというのが、「おとうレンタル」ですかね。ゆくゆくは「何でも屋」ではなく、企画として「僕を、〇〇の仕事で1週間使ってみませんか?」と広告して、お客さんを集めてもいい。
「にほん語ことだま研究会」は、まだ1回やっただけですが面白かったです。サイコロを使って文字を選択し、その文字を使っている単語を、参加者みんなで書き出す。出てきた単語を見て、その文字の意味を改めて自由に考え、議論します。記念すべき第一文字目は、なんと「あ」! 偶然にしては、すごすぎです。知り合いのオペラ歌手の方は、言葉の響きに対する感覚が鋭く、こちらが思ってもみないイメージを展開され、新鮮でした。
若い人たちに向けたイベントも試みています。「将来や生きることについて語らいませんか?」と学生さんに呼びかけましたが、集まったのは大人ばかり。「働き方」「幸せ」などを熱く語り合えて、とても充実した時間を過ごしました。大人こそ、そうした機会が意外にないのでしょうね。
まだまだ「ヰヱ(イエ)」自体の周知ができておらず、人集めに苦労しています。しばらくは部屋のレンタル料を無料にし、多くの人に使ってもらいたいなと。水道光熱費ばかり出て行きますが、「それぐらいは僕が稼がなきゃ」と、食関係か学童保育的なバイトを探したんです。子どもの方は保育士の資格がないとできない。結局、産婦人科の調理の職を得て、今そこで午前中に働いています。
…ちょっとした食べものものなら、「ヰヱ」で披露してますよ。マルタのスナックフード「パスティッチ」は好評でした。日本のタコ焼きより食べる頻度が高くて…そう、ハンバーガーみたいな感じかな。本とYouTubeでつくり方を研究しました。機会があれば、ぜひどうぞ。
学校側は柔軟に対応してくれる
東京に帰って来て、結ちゃん通う小学校を決める際、足立区で通える6校へすべてに行き、副校長先生とそれぞれ面談しました。「ホームスクーリングと併用する形に」と伝えると、みなさん理解を示してくださる。今通っている小学校では、特に副校長先生がとても感じが良い方なんです。校長先生、担任の先生ともお話して、すべてを承知されました。日々の出欠は、その都度学校にメールしています。
宿題ですか? 逆にやりたがったりするんですよね。宿題って、やらないときあるのかな?(おかあ・友子さん/あるよ~。タブレットをわざと学校に置いて帰って来るとか(笑))。
給食は、やはり調味料や添加物で心配なところはあります。結ちゃんにしたら、給食自体が楽しい体験みたい。「食べてはいけない」というのもストレスになるので、そこまで目くじら立てないことに。今日は、「避難訓練が面白かった」と言ってました。
自分と他人を認め、「今」を生きる
コロナ禍のとき、スピリチュアルが一気に流行しました。いろんな人が、「宇宙の仕組みはどうなっているのか?」「人は、なぜ生まれてきたのか?」と問う。根本的なことって、誰も正解を知らない。いくら本を読んだところで、その人の意見でしかない。古今東西の研究者たちの考えは立派で尊敬しますが、結局「正しいか」の検証は不可能です。だったら、各々自分の中でしっかり考えて得た答えが、それぞれに正しいんじゃないかなと。各々に各々の宇宙がある。
宇宙から地球を眺めたとき、人間なんて、あるのかないのか分からない、ほんの一瞬の存在です。僕たちが見ている夜空の星の光は、何億光年前に発した遠い過去のもの。その過去と現在が、今、同時に現れている。そこに未来を重ねたとしても、無限の時間に比べれば、やはりすべてが「無い」のと同じことじゃないのか。また、僕たち人間を含む物質としての存在は、原子・電子のミクロから宇宙のマクロの世界に至るまで、電気的エネルギーに結びつけられ、絶妙のバランスで「今」という瞬間に成立しています。これはまさに奇跡的なこと。だったら、あれこれ悩むのではなく、「今」というその場、そのタイミングを大事にするだけでいいんじゃないか。少し将来のことを悩んで、保険に入る、貯蓄をしないといけない、勉強して資格を取る…とかではない。この瞬間に全部がある、だから「今」を楽しもう…そんな感覚になってるんですよね。
戦争や犯罪など、不条理なことに巻き込まれて、命を失う人たちがいる。それはとても悲惨なことです。でも人はやがて死ぬ。お金の存在が大きすぎるこの世の中は生きづらい。だったら魂がこの体から抜けた方が、実は楽になることなんじゃないか。もちろん、基本は「平和であること」だと思います。自分は自分のやりたいように生きる。同じように、他人も他人のやりたいように生きたいはず。だから他人が望むことは、「どうぞどうぞ」と尊重します。自分も他人もお互いが認め合えたら、多様性のある社会になっていくのかなと。
おかあからは、よく怒られます。「お金を稼いで来い」とか言うわけじゃない。「自分でやりたいことがあるんだったら、なんでそこへ行けないの」と。僕はつい寄り道しちゃいますから。お金に頼ったり、人にうまく頼り切れなかったりする。もっと前に突き進むことができればなと…。
(4歳の男の子、冷蔵庫から何か取り出す)あっ、僕の特性オレンジジュース!? それ高いのよ~、どうしても飲む?…そう… いいよ、おとうの一杯おごりで!
(聞き手・ライター上田隆)
<問合せ>
- 東京千住・ヰヱ
〒120-0034 東京都足立区千住2-18
- おとうレンタル
1時間1,000円
<参考Webサイト>
- タビスルオヤコのおかあチャンネル
- 改田友子さんのインタビュー記事
タビスルオヤコの「学校」

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