「自分」受け入れ、人の哀しみ抱く

ヤングケアラー

ルポvol.35 【ヤングケアラー5】

 

ヤングケアラーの低い「自己肯定感」

「自己肯定感」。 このワードが話題に上がるたびに、耳をそば立てる。ここ数年、心のありようを計る言葉として出回り、聞くたびに胸がざわめくからだ。そして、ヤングケアラーのそれが「とても低い」ということを、取材するたびに知って気になっていた。

 

2021年9月、私のブログ「ルポ! 足立の子ども支援」を読まれ、フェイスブックでメッセージとプロフィールを送ってくださった人がいる。精神保健福祉士で障害福祉ケアマネージャー(相談支援専門員)として活躍されている山本真由美さんだ。精神障がいを持つ親の元ヤングケアラーでもある。

 

やり取りをするうち、あるとき「条件つきでなく、自分以外の他者から受け入れられることが、自己肯定感をつくり出します」と、実体験からの言葉をもらう。そこに至るまで、どんな軌跡を歩まれたのか。

 

フェイスブックのつながりで、ご縁を感じる

山本さんは、東京都出身。以前江戸川区内の精神障がい者施設の支援員や、同区の子どもの学習生活支援事業を担う認定NPO法人キッズドアのスタッフとしてかかわっており、江戸川児童相談所の上坂かおりさん(ルポvol.20)とも連携をしていたという。また職場の近くに祖母が住んでおり、東京下町は祖母と過ごした優しい記憶がつまっている。2019年に出産を機に夫の故郷である山梨県に移住し、障がい福祉ケアマネージャー(相談支援専門員)として、ヤングケアラーを支えていた。

何かご縁を感じ、インタビューを申し込むと快諾いただく。

 

精神障がい者とヤングケアラーを、家族ごとサポート

2022年8月、山梨県内の相談支援事務所でお会いする。木のテーブルで向かい合ったその人は、大らかさと同時にナイーブさを感じさせる人柄だった。

所属先のホームページに公表されていた山本さんの経歴に面くらっていた。「精神保健福祉士」をはじめ、「公認心理師」「サービス管理責任者」「SSTリーダー」など資格がずらり。所属学会・協会も9つ並ぶ。「頭がパンクしませんか?」と、思わず尋ねてしまう。この猛烈な学習意欲、仕事欲の背景には、長いドラマがあった。

 

ストレス解散法は、カラオケで歌うこと。「唯一無二」な曲が、浜崎あゆみの「song 4 u」。歌詞はこんな要旨だ。迷い揺れている「僕」。でも、「僕」は、そんな「僕」のままで、「君」の「哀しみごと」を抱きしめる、と。まさに、山本さんその人。

 

(山本真由美さんインタビューは、2022年8月4日、山梨県内の相談支援事業所にて行いました)

<インタビュー・山本真由美さん>

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