一人ひとりを「看る」政治

政治

ルポvol.49 【政治2】

 

コケは、乾燥するとしわしわと縮む。水を撒けばパッと生き返る。実は、育てることが難しい。湿度や場所などを変えても、容易に意図するようにはならない。それが魅力なんです…。

 

「やっぱり、政治家らしくない」。庭のコケについて生き生き語る葛飾区議会議員・沼田たか子さんを前に話をうかがうと、そう思う。

 

葛飾・生活者ネットワークの「代理人」として

自分にとっての政治家像は、あまりよろしくない。権勢欲でギラギラする人、というイメージがどうしてもある。大勢を巻きこんでいく押しの強さやバイタリティは必要だ。しかし、なにか違和感がある。とある区議会の定例会を傍聴したとき、ベテラン議員が壇上で、「明治維新の偉人の伝記を、学校の教科に!」と提言したのを聞いて仰天した。多くの政治家が語る「天下国家」は、市民生活から、えらく遠い。

 

議員としての沼田さんのバックボーンは、「葛飾・生活者ネットワーク」だ。同会が、市民の政治改革を目的に区政に送り出す議員は、会内で「代理人」と呼ばれる。そして「最長3期の交代制で、特権化を防ぐ」「議員報酬は市民の政治活動資金に」などのルールに従う。選ばれた沼田さんは、まさに適任。会が母体とする「生活者」その人だから。

 

「訪問看護」の視点を「子ども支援」に生かす

本職は看護師。キャリアを大学病院から始め、模索の末、現在「訪問看護」をライフワークとする。転換点となったのは、「一人ひとりを見極めたい」という気づきだった。議員活動では、一児の母であることから、「子ども支援」も主要テーマの一つとされるが、そこでもこの考えが芯にある。どうつながるかは、本文で詳細に示してみた。

 

「天下国家」の政治の先には、「国民」という顔の見えない群像が浮かぶ。「一人ひとり」の政治の先には、多様で個々の「暮らし」がある。タイトルに「看る」の字を使ったが、沼田さんが専門とする医療看護の「状況・状態を見極め、見守る」という意味を盛り込んでみたかった。

 

本ブログ読者としてのご縁から

沼田さんには、本ブログの読者として応援いただいている。そのご縁もあり、フェイスブックで議員活動を時折拝見。いつも、さつさつと吹く風のような感じを受ける。その大本はなんだろう。生けるものへの真情かな…と、インタビューして思う。そして、痛快なお父さんの存在も。

 

(沼田たか子さんのインタビューは、2023年8月22日、葛飾・生活者ネットワークの事務所にて行った)

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