アート×哲学で、「対等とは?」

アート

「あだ名」で職場に対等を

鈴木/「OUCHI」さんは、職場の中で「対等」が成立していそうですね。

水戸/それは分からないですが、私が「対等」だと思っていても、相手がそう思っていなかったら「対等」じゃない。やはり相互関係なんだろうなと。私たちは「対等」ですか?(神さんと根本さんに)

/いや、僕にとって水戸さんは、やっぱり「先輩」ですよ(笑)。ただ自分の価値観として、先ほど出たお話の「魂と魂において同じ人間」ということに共感します。人にはそれぞれバックボーンがありますが、今置かれている自分の環境や状況を本音で相手に話せれば、「対等」に近づけるのかなと。

水戸/私たちの職場で、あだ名で呼び合うことが、それに通じるかも。この人(神さん)、私のことを「キャシー」と呼んでます。私からは「ジンくん」(神さん)、「ネモチ」(根本さん)と。ちなみに代表は、敬洋だから「タカちゃん」。そのタカちゃんから、「あだ名で呼びなさい!」と強制された時点で「対等じゃない」と懐疑的でした。でも「あだ名」が、スタッフ間の関係性を「対等」にするためのスイッチになってることに、今気付きました! 確かに本音を言い合え、不平不満が高まりにくい。

鈴木/きっと代表は、「対等」を意識されている。

水戸/タカちゃんに聞いてみないと分かりませんが、そういう意図はあるでしょうね。

岡井/でも、その関係性は、ときにしばりにならない? うまくいっているときはいいけど、何かあったとき、言いにくいかもしれない。もちろん、あだ名で呼び合う関係性ができるのはいいことだけど。

 

「つながり」があって「対等」になる

岡井/むしろ今、問題なのは、人と人との距離があまりにも遠すぎることかな。それでも、内輪の仲間では共通言語があるので、断片的な言葉でも会話は成り立つ。しかし共通言語を持てない、コミュニティさえ持てない人が出てきている。「枠組み」自体ができないので、これは「対等」以前の問題。「孤立」しているわけです。1対1の関係性がかろうじてあったとしても、それでは「枠」として狭すぎる。

鈴木/確かに、均衡が取りにくそうですね。

岡井/結局親子関係も、そこだけで閉じてない。子どもと子ども、親と親という横の関係がある。ある子の親と、その友人の子どもの関係だって成り立つ。

鈴木/ママ友、親戚、職場がつながっていく…。

岡井/人を誰かに紹介するとき、誰と誰がつながってるという関係性を相手が聞けば、安心してつながりやすい。「つながり」という関係性がないと「対等」になっていかない。

水戸/「険悪な関係」という「対等」もあるかもしれない(一同笑)。お互い好きじゃない、魂のレベルでの「険悪」。すごい仲良しが、何かがかみ合わなくなり、一周回ってそうなる。

…あっ、「和尚」が来ました!

大島/こんにちは、遅れまして…(座席につく)。

 

「親子」の間の「白い線」

/真ん中の境目が、ビシッと一直線な絵、あれが僕の中での「対等」ですね。デコボコの白い左側が、右側の青より「優位」な感じがする。先ほどの教師と生徒の話を連想するんです。能力差を表すデコボコ絵の具の「教師」が、どうすれば理解できるかと「生徒」に歩み寄る、その感じが「対等」。

鈴木/この作品は「職場」として描きました。デコボコの白が上司で、これが上になれば抑圧的に。以前の職場で、「リーダーは管理の役割を担う人にすぎない」と言われた    のに共感して、それをイメージ。

↑「職場」

/境界に白い線が入っている絵も気になります。自分の「夫婦」関係を表すなら、真ん中をそうしますね。

鈴木/これ、「親子」の絵なんです。

/なぜ、ここに白を使ったのか、意図があるのかなと。

鈴木/すごい、よく見てくださる!  ほかの絵は2色で接しますが、「親子」だけ、唯一白が入るんですね。岡井さんも言われていましたが、子どもが自分のものだと思って育てると、支配的になってしまい、本当に悪いことしか起こらないというか。そこで「子どもは自分と違う       人格だ」と自分に言い聞かせる意味もあって、一線を引きました。

↑「親子」

 

↑「友だち」

これは「友だち」。同質な絵の具を使い、笑うポイントも同じような共感し合える関係を表現。

↑「国」

「国」同士です。元々地球は分割線なんてありません。国のラインは、人が勝手に境界線にすぎず、領土を増やしたいと思うから戦争が起きる。ここでは争いはなく調和しています。

↑「パートナー」

「パートナー」。異質なものが組み合わさって、相乗効果を発揮。左右と全然違う塗り方で、色も変えています。パートナーは、夫婦、恋人をイメージしがち。でも、私のパートナーは、ぬいぐるみのこの子 (カレイ店長)。

 

先日展示で、ある方が「親子」の絵をご覧になって、「心に残るものが…」と購入されたとのことです。「対等」のメッセージがみなさんに届いたのかなと思って、とても嬉しいですね。

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