落ち着いて学べる日本語学校があったなら…
今、生活の中心は、スタディとキッチン(避難民食堂のプロジェクト)! 特に日本語の勉強は、仕事を得るため以上に、まず日本に住むために必要ですから。ノリさんに頼らなくても、どこでも行けるようになりたい。独り立ちしたいんです。
また、精神的にも支えてくれるメグさんと、もっと日本語でも語り合えたら素敵だなとも。彼女は、忙しい中でもプロジェクトを切り盛りしてくれる1人なんです。飲食店で働いている経験もあり、英語も話せるのでとても心強い存在。メグさん無しでは、営業や集客もできないでしょう。調理補助まで担っているので、まさに縁の下の力持ち!
日本語は、ボランティアの日本語教室で学んでいます。たくさんプログラムの中から、あちこち利用するので、時間の調整が難しい。先生の都合もあり、朝1時間の授業となれば、それに合わせなければいけない。また、先生が1年のプログラムを組んだとしても、生徒が私1人だけだったら継続は難しいでしょう。リモートでウクライナの先生がやっている日本語教室もありますが、続くかどうかも分からない。
もし、1つの学校だと、効率よくカリキュラムが組まれてラクに学習が進むのにと。私は、キーウの大学で日本語を学んでいたので、初歩、入門クラスは終えています。その上のレベルに行きたい。日本で、就職に役立つ無料の日本語学校があればいいなと。
日本語ができるようになれば、まず初めに、ショッピングモール、スーパーマーケットで働きたいです。日本のソーシャリティが分かるようになるからです。
今、キーウに必要なのは、極寒の冬を乗り越える「防寒具」
キーウの母に聞くと、これから冬に入るので、ヒーターやブランケットなどの防寒具、マットレス、枕などの寝具が必要とのこと。母の幼稚園では、規則上、子ども服はダメだそうです。しかし必要なものなので、他の幼稚園はOKかもしれません。実際にどうなのか、また尋ねてみようと思います。
キーウは、真冬になるとマイナス20度まで気温が下がります。こないだのニュースでは、ロシア軍が電力施設を破壊して、70%の電力が不足していると報じられていました。そうなるとヒーターもないので水道管が凍り、水が出なくなる。すると、トイレも使えない…。
心にはイエス・キリスト。日本の神にも親しみ感じ
ウクライナでは、キリスト教のいろんな宗派がありますが、私はウクライナ正教を信仰しています。神様は、いつも私のハートにおられます。教会へ行くのは年に1度だけですが、家の中でお祈りします。今でもそう。平和でありますように、私も家族も平穏無事でありますように。そして、すべてのことに感謝します。さらにお願いします。ウクライナをはじめ、全世界で苦しむ人たちが、すべて救われますようにと。
…「日本人は、宗教を持たない」と、あなたは言われますが…神道があるのでは?
(日本語で)私は、神道が好きです。外国人は入れませんが。上野公園に神社があり、御守りを買いましたよ。好きな場所がたくさんあります。東京では東京タワーがいいですね。でも、歴史的なお寺や神社が、もっと好きです。建物や、ときどき池がある自然がきれいですから。美しいです。
日本について学び、ウクライナのことを伝えたい
いつかは帰りたいです。しかし、私が思うには、そんなにすぐには帰れないということ。家族が日本に来てくれればいいのにと望みますが、母には仕事があります。祖母を説得するのは難しいでしょう。彼女は、海外に行ったこともないし、英語も話せませんから、ポーランドに行くのも無理かな(笑)。
今は、日本のことをたくさん学び、たくさんの人と交流したいです。なにより、私たちの運営する「Nadia(希望)」で、ボルシチを多くの人に食べてほしい。
ウクライナから、日本に避難している人たちがたくさんいます。私たちのために辛抱強く、いろんなことに取り組み、支援してくださる人たちに、「ありがとう」と伝えたいです。
(聞き手・ライター上田隆)
<インフォメーション>
ウクライナ避難民運営食堂Nadia(ナディア)
毎週日曜日
Yana Café西東京にて、ボルシチを販売中
(店内での食事可能)
〒202-0022 東京都西東京市柳沢2-13-9
毎週土日
Mat troiにて、ボルシチを販売中
(テイクアウトのみ)
〒202-0022東京都西東京市新町1-13-10
【募金のお願いについて】
Nadiyaでは、募金を受け付けておりますので、ご協力をお願いいたします。
にて、詳細をお知らせしています。
【食レポ】
取材の日、エリザさんとメグさんがキッチンで、次の日の第1回試食会で出すボルシチを煮込んでいた。インタビュー後、ノリさんが「試食をして感想を」と要望。試食第1号の栄誉を担うことに。
ウクライナの郷土料理「ボルシチ」は、まったくの初めて。赤いスープの上にちょんと乗る白いクリームが目に鮮やかで食をそそる。さっそく飲むと、あっさりしているようでコクあり。とっても美味しい。ウクライナでは、「飲む血液」と称されるだけあって、滋養があり、体にじんわり染みわたる感じ。「ビーツ」という、日本にはない赤いカブのような野菜が味の決め手のようだ。カレーなら、ルーというところか。鶏肉のスープに、ビーツ、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンニクを煮込む。通常、出汁は牛肉、また「サーロ」と呼ばれる「豚のラード」は使うそうだが、健康志向のエリザさんは入れないとのこと。野菜は一部炒めているものの、極力油は使わないそうだ。
ぜひ、この優しいウクライナの味を、みなさんも体験してみてはいかがでしょうか。
【エリザさんおススメのウクライナ文化】
アート
- 国民画家/ マリーア・プリマチェンコ(Maria Primachenko)
動画で代表作を紹介。キュートで不思議な動物たちの饗宴が繰り広げられる。https://www.youtube.com/watch?v=LKxJqLYaSFA&t=186s
音楽
現在のウクライナ侵攻を題材に。日本のミュージックシーンにはない深い内容。
- Kalush 『Stefania』

(歌詞・日本語訳 https://lyricstranslate.com/ja/stefania-sutehuania.html )
建築
- Kyiv Pechersk Lavra キエフ・ペチェールシク大聖堂 「写真キエフの建築;歴史と神話」

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