アートイベントで垣間見る親子関係
アートイベントでは、保護者とお子さんがセットで参加されるので、お子さんの絵に家庭の影響が強く映し出されていることを感じます。小さな絵になってしまう場合、親の干渉力が強いのでしょう。あまり「こうしなさい」「ああしなさい」と言われない子の方が、モチーフが大きいですね。
イベントに参加される親御さんの中には、熱心すぎる方がおられることも。後ろで「ちゃんと描きなさい!」と威圧する感じで見守られていますが、かえってお子さんは描きたくなくなる。
アートは、自己肯定感を上げてくれるものなのです。
できた作品に対し、ポジティブな言葉をかけることで、子どもは自信をつけていきます。でもアートのことだけじゃなくて、「ねぇ先生、聞いて!」と言われれば、全然違う話も聞いて受け止め、応えることも大切だと考えています。そうすれば、子どもたちは心が潤って帰っていきますから。親以外の、話を聞ける大人の一人になることが、今の私にできることかもしれません。それで「レッスンが楽しい」「絵が好き」となってくれれば、なおいいわけです。
幼い娘へのアート教育の成果は
私の家には、食卓やリビングにはテレビは置いていません。娘には、朝食時に、テレビ代わりに画集や名画の載っている絵本などを見せてきました。こちらは娘の描いた絵ですが、傑作でしょ。「家」を描いたものですが、あったかい色遣いなので、ほっとして。家の絵は「母親」をあらわすといいますし…。この壁に貼っている名画カードは、「毎月美術館」というもの。例えば「今月はフェルメール」として、その画家の名画にタイトルをつける。毎月私と交代でテーマを決めてやっていました。今、8歳ですが、自分から進んで絵を描くことは少なくなりましたね。でも親がやることを、同じようにする必要はないかなと最近思っています。彼女はむしろ体を動かすのが大好きで、公園に行って遊んでばかり。だだ、発想が結構アートなんです。「アート的思考」が身に付いたのなら、それでいいかな。
心をやわらかにし、社会も変える「アートの力」
「やわらか」という言葉が好きですね。肩の力が抜け、すべてに完璧でなくていい、楽しんでやれば、といった感じがしますから。心が固くなることはあるか?…よくありますよ(笑)。もう落ち込んだときなんか、絵を描きます。とりとめもなく、誰に見せるでもない絵を描いたりすると、なんかすっきりして前向きになったり。「アートの力」って、本当にすごいなと。
あっ、大事なことを言い忘れていました。来てくれる子たちに、自分の幸せを自分でつくっていけるようになってほしいなと思います。さらに発展して、地域や会社のリーダーにもなってくれたら嬉しいなと、イベントやレッスンをやっています。アート的思考が身に付けば、社会の問題に気づき、本当はこうあるべきだとイメージできる。あとは、その実現に向かって実行していくだけ。1枚の紙の中に想像した理想のイメージを、自分が考えたプロセスにそって描き上げていくアートと同じ。これができれば、もうリーダーなんです。
(聞き手・ライター上田隆)
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