子どもたちの「いじめ防止大作戦」

いじめ

尾木ママ、「小学生のレベルを超えている」と絶賛

TKRの活動で辰沼小学校は変わった。いじめは激減し、児童たちに自主の気風が漲った。

 

「4月最初の入学式の後、移動してきた先生が驚くわけです。『この子たち、どんなしつけがされているのですか?』と。何も言わなくともシーンと静かに話を聞いている。職員室のドアをきちんとノックして入る。整列しないといけないのにうろちょろしている子がいたら、児童同士が『早く並べよ』と注意し合う。すごいねぇと…。

なんといっても、トラブルが少なくなり、生活指導の時間もぐんと減りました」。

 

法政大学特任教授・尾木直樹さんが学生とともに辰沼小学校を訪問した際、児童たちのふるまいに目を見張った。「レベルが非常に高く、小学生のそれではない」と。そして尾木ゼミが実施したクロス集計では、「中学校と比べても、辰沼小学校のいじめの感度は高く、いじめの発生率が低い」と結論づけられた。

 

子どもの安心安全を確保する「アーキテクチャー」を

通常、いじめは、「被害者」「加害者」「加担者」「傍観者」の四層構造で生じるとされている。しかし、仲野さんは「違和感がある」と言う。

「現実の学校の構造は、四層構造に、いじめ発生そのものを知らなかった児童(無関係者)、そしていじめを止めたい生徒(防止者)を合わせた六層構造になります。『防止者』は、止めたいけど、止められないことに無力感を感じ、自己肯定感を下げている。加害者を生まないことはもちろんですが、防止者を励まし増やすことが、いじめ防止にはかかせません」。

 

「よくお子さんに『傍観者になっちゃだめだよ』と諭す親御さんに尋ねることがあります。『会社で不正を発見したら、左遷される覚悟で告発できますか?』と。『できる』と言い切られる方はおられません。ならば、子どもが自分を責め、自己肯定感を下げる環境ではなくて、子どもが不正を堂々と止められる、傍観者にならずにすむ学校をつくらないといけない。学校の最優先業務は、子どもの安心安全の確保を行うこと。それができてはじめて、学習やスポーツに打ち込めます。教育者は、理念を唱えるだけでなく、子どもが幸せになるためのアーキテクチャー(構造)を、実際に作り上げなければなりません」。

 

いじめに、もっと敏感になりなさい

「私は、いじめ防止のことを24時間、考えています。子どもたちに、『どうしたら、いじめがなくなるか、考えてみて』とよく問いかけますが、どの子も『う~ん』となる。正解はなかなか出ませんよね。正解はないんですから。いじめは、絶対になくならないと思います。私自身にしても、親しい人には嫌味を言ったり、意地悪したりします。人間は、そういうもの。いじめをゼロにすることは不可能です。だから、『いじめゼロ宣言』する学校には賛成できないのです」。

 

「いじめは、子どもだけでなく大人、いや人間が乗り越えるべき壁で、一生つきまとう。ただ、いじめに対して常に意識しているかどうかということが、その人の行動を決めます。『いじめがおかしい』と自覚する人は、積極的にハラスメントや虐待、DVをやろうとはしないはず。私が、一番子どもたちに伝えたいのは、『いじめにもっと敏感になりなさい』ということ、それにつきます」。

 

教育の重要な役割の一つに、己の中にひそむ根源悪に、目を向けさせることがあるのではないか。ならば「いじめ」は、第一級の教材である。

(文責/ライター上田隆)

 

 

参考資料:『文部科学省 いじめ対策に係る事例集 平成30年9月』 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2018/09/25/1409466_001_1.pdf

上の資料のP56~59 「Case22 児童生徒が主体となった取組(その1)」が辰沼小学校の事例紹介となっている。

 

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