一人ひとりを「看る」政治

政治
生活クラブに加入し、「消費材」の魅力にはまる

2011年に、「生活クラブ生協」に加入したのは、同じマンションに住むお友だちに誘われて。びっくりしたのは、その活動のテーマが、私の父がやっていた環境問題や食の安全、貧困問題などとほぼ一致していたこと。それで「素晴らしい。私も入ろう!」と。

 

加入して早々、「委員になって、『消費材』のことを知ってもらう活動やりませんか」と声をかけられ、「あら、楽しそう」と参加しました。

 

生活クラブでは自分たちの生活をみんなでよりよくしていくため、取り扱う食品や生活用品を「消費材」といいます。市販の「商品」ではありません。このパンフレットを見ていただくと…スーパーで売っているものと変わりませんが、食品の一つひとつに成分表が表示。中身を見れば、添加物が入ってない。お母さんたちが、子どもが食べても安心なものだけ扱っています。そして、私たち生活クラブの組合員が、本当に食べたいもの、使用したいものを、生産者さんにお願いして、つくってもらったのが「消費材」なんです。

 

生産者さんの志も高いですし、お野菜なんか一般に流通しているものより、使用する農薬も10分の1以下に抑えています。環境を守るというところにもつながっていく。私たちが、「良いものだから、あなたのつくったお野菜を食べますよ」と契約することで、生産者さんの生活を支えることにもなる。ここに持続可能な世の中をつくるための循環があります。

 

いろんな知恵を絞っていて。カップがゴミになるからと、小さな袋に小分けしたこのインスタントラーメンって面白いでしょ。お醤油やケチャップ、ドレッシングなんかは瓶に入っていて、あらゆる瓶を回収・洗浄してリユースして回していく「グリーンシステム」も好評です。生活クラブでは、自前の発電所もつくっている。電気を再生可能エネルギーで賄えれば、自分たちでコントロールできない原発はいらなくなるわけです。「買い物」という日々の選択は、「投票」と同じ。「無農薬の野菜がいいな」と買ったら、その考えや実践を応援することになる。

 

「訪問看護」から「政治」の世界に

墨田区の訪問看護ステーションにずっと勤務していましたが、将来的に、自分が住む葛飾区で訪問看護をしたいと思います。高齢になっても、細々とでも仕事ができればいいなぁと。訪問看護は24時間の緊急対応もしているので、患者さんの住む地元なら、時間のロスもなく駆けつけられる。2017年、葛飾区内の訪問看護ステーションに転職します。

 

そんな自分が、まさか議員になるとは思っていませんでした。生活者ネットワークでは、私たちの声を代弁してくれる人のことを「代理人」と呼び、地方議会に送り出します。任期は最長3期で、ローテーションする決まりです。前回の選挙の1年前ですが、生活者ネットワークのみなさんに訪問看護についての話をする機会をいただいた際、「議員になってみないか」と声をかけられまして。当初は「とんでもない!」と思いました。でも、政治に素人である私に任せきりにしないで、仲間と共に考え、提案・要望していけばいいとのことなのでお引き受けすることに。ここでまた父の顔が思い浮かびます。「運命かもしれないから、やってごらん」と言ってくれるかなと。

 

仲間と区民のみなさまのご支援により、2021年、葛飾区議会議員に初当選しました(※同会として、葛飾区で初めての議席獲得)。

 

議員になって感じた行政と市民との距離

1年間、議員として活動してみて、いろいろなギャップを感じました。医療職では、目前の目標、少し先の目標が明確なんです。終末期を迎える方たちが、満足して人生を全うされるために、やるべきことははっきりしている。しかし政治は目指すところはあって日々活動しても、すぐには成果へと結びつきません。

 

粘り強く議会で発言するなかで、私の提案を他の議員や行政側が聞き届けて、動き方を変えてくれることもあります。女性中心で活動している私たち生活者ネットワークの視点が、従来の政治になれている議員や行政職員からすれば、新鮮に響くこともある。

 

ただ、議員になって、強い違和感を覚えたことが。行政側って、「市民は、何か困ったことがあれば、自分から連絡してくる」と基本的に思っている。でも、そんなことは絶対にない。「相談窓口はたくさんあるでしょ」「『いつでもどうぞ』と言ってますよ」「広報でもお知らせしてますよ」と行政は言いますが、多くの市民は、個人的な悩みを相談していいとは思っていません。

 

一方、議員として施策を見れば、自治体には意外と豊富にメニューがあり、支援が充実している。問題は、それが市民側に伝わってないことです。例えば「区民のみなさんのご意見をお寄せください」とパブリック・コメントを行政が求めていることがあるのですが、ご存知でしょうか? これ、やっても意見がゼロのことがあるんです。葛飾区では、「SDGs推進計画」を作成する過程で、パブリック・コメントをすることになりましたので、「区の全施策にかかわる大事なことだから、もっと意見が集まるやり方をしてください」と委員会で発言したんです。すると広報誌に掲載する回数を増やし、いろいろなイベントでもパブコメのお知らせをしてくれて、結果、区民より多く意見が寄せられました。

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