実の子じゃない子育て、「困ってる」と言っていい

里親・中途養育者

ルポvol.4  【里親・中途養育者1】

 

愛らしい小さな革靴。しっかり丈夫で、デザインも洗練されている。この足立ブランド認定のベビーシューズを手作りするのは、ファーストステップシューズ(足立区梅田)を経営する町田彰秀さん。その本業より力が入ってるかもしれないライフワークが、さまざまな子ども支援活動だ。

これまで、不登校児の支援員やペアレント・メンター(発達障がい児を持つ親の相談員)を務めるなど多様な形で、地域の子どもたちにかかわっている。

現在、ステップファミリー(どちらかに子どもがいて再婚し、新たに築かれる家族)を支援する「A-Step」、「中途養育者サポートネット」を運営しつつ、今年4月からは児童養護施設の児童指導員として働いている。今回は、町田さんより、これらの活動の原点となる中途養育者としての体験と、そこから見える支援の課題をインタビュー。取材は、2020年2月に行った。

 

引き取った子が「発達障がい」

私は、小学校、中学校と不登校児でした。今思えば場面緘黙の症状があり、ほとんどしゃべらない。喘息を診てもらっていた主治医が、「自閉症だね」と言うので、うちの親も私も自覚がないまま「そうかな」と。治療もなく、あまり学校へも行かず、ぶらぶら遊ぶような子ども時代でした。

兄は、反対に勉強好きで「辞書オタク」。かなりの変わり者で、アスペルガー症候群(自閉症の特徴はあるが、知的障がいや言語発達の遅れはなし)だと思う。社会に出てからは、郵便配達と新聞配達でずっと生活。組合活動などが嫌で正社員にならず、ずっとアルバイト社員で通してました。今、どんな風に生活しているか、分かりませんが。

 

「発達障がい」にかかわるのは、成人してから。妻子ある私の家庭に、義母が育てていた甥(当時7歳)と姪(9歳)を引き取ることになったのです。

一緒に生活すると、当初から変わった子たちだとは思っていましたが、姪の方がその度合いが強いことを知り、とまどいます。会話していると話題が突然飛ぶ。高い所が好きなのか、階段を見ると走り出して駆け上る。ついているテレビを目にした瞬間、動きが止まる。それで小学4年生のとき教育相談に行くと、どうやら「ADHD(注意欠陥多動性障害)」だということでした。

以前、義母が面倒を見ていたとき、「この子は大丈夫なんだろうか?」と心配すると、当時の私は「それ、個性ですから(問題ないですよ)」と言っていました。いざ自分で育ててみると大変。親族といっても、しょせん「他人事」「人事」だったわけです。

といっても「個性」なのは確かです。1人1人違うわけですから。しかし、みんな、同じようでないといけない気がしてくるから心配になる。世の中も学校も、「みんな同じように、ちゃんとしましょう」という価値観を押し付けてくる。「ちゃんと」って、なんだろうと思う。

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