ルポvol.45 【不登校】
任意団体「あいりす」として、学校の外に、自由な学びの場を
キレイな三日月形、パラのつぼみ、指輪…これはシュウマイ? いえ、全部ギョーザです。小学生の女の子たちが集まって、ワイワイつくったものだ。
送られてきた1枚の写真に、NPO「あいりす」代表・牧瀬美香さんの理念が、凝縮しているのかもしれない。好きなことを、自由に、思いっきり、遊び学ぶ。そんな場を子どもたちに与えたいという一心で、同会は運営されている。
参加するのは、不登校児や、学校に馴染めない小学生たち。また、学校の座学にはない自由な学びがしたい子、気の合う友だちと出会いたい子もいる。「食」「学習」「アート」「運動」の4本柱のプログラムを、型にはまらない専門の先生がそれぞれ担当。「あっ」と面白い、もう物語のような講座を行うので、どの子も夢中に。
不登校児を、団体「あるこいりす」結成で、さまざま支援
取材をするごとに、子ども支援において、「学校」は重要なプラットフォームになりえると思う。しかし、肝心の学校が、どうも心配に。不登校児の数が、跳ね上がっているからだ。コロナ禍の2021年では、全国の小中学校でなんと「約24万人」(前年比24.9%増)。地鳴りして、何か壊れ出しているのではないか。
そう感じている折に出会ったのが、牧瀬さんだ。NPO「あいりす」と、不登校児の支援団体「虹色応援プロジェクト」(代表・佐久間久美子さん、vol.46)を統合したタイミングだった。自身開発した学習プログラムを導入し、「あるこいりすArco-iris」という新会名で活動を始め、法人化を目指している。
牧瀬さんは、4児のママで、子育て真っ最中。小学生のお子さんのお一人が、学校に行き渋るので、「付き添い登校」されている。当事者の保護者と支援者両方の立場から「不登校」についてうかがえば、驚くことばかり。潜在意識の奥から助けを求めている子どもたちの姿を、かいま見た気がした。
その「SOS」の声を的確にキャッチできる大人は、少数派かもしれない。多数派は、硬い価値観と気ぜわしい心が邪魔して、何も聞かない、聞こえない。子ども時代、大病と家庭の不安で心身ともに悩み抜いた牧瀬さんこそ、現在を生きる子どもたちの痛みをリアルに感じとっている。また看護師の立場から、学校も保護者も、子の「生理的欲求」の重要性が見逃されていると指摘。そして、今の子どもたちには、「発達する場がない」と言う。どういうことか、聞いてみた。世代をまたぐ「母」たちのまなざしを想う。
(牧瀬美香さんのインタビューは、2020年3月17日、五反野の喫茶店にて行った)
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