生きづらさは、心の「退化硬直」から

発達障がい

生きづらくしているのは「君だ」

一方で、今の社会環境や意識が、「退化硬直」の温床になっているという。

「元ヤンキーだった知人が、最近『不良』が減っていると言います。今はSNSなどで1人で時間がつぶせるからです。昔は、おしゃべりが娯楽で、仲間とつるむしかなかった。今は、ラインが日常の会話代わりに。こうした環境が、コミュニーション力を低下させています」。

 

また、生きづらい人の周知が、かえって状況を悪くしているとも。

「『発達障害』というネーミングが、フォーカスされすぎ、今や弊害になっています。大学の学生相談に親が出向いて、『うちの子は発達障害だから、学生相談でフォローしてください』と訴える事例も耳にします。子の方も、症状があるから『特別扱いしてもらいたい』と願うだけで、生きづらさを社会のせいにする傾向が。何もせず、その状態にあり続けるなら、『君が自分で生きづらくしている』とも言えます。問題にすべきは、『発達障害』でなく、『退化硬直』を放置していることです」。

 

何もしなければどうなるか。

「2年間の『退化硬直』を払拭するには、最短で倍の4年間の専門プログラムが必要になるでしょう。回復できない状態にまで悪化すれば、もう私たちの手にも負えなくなります。だからこそ『退化硬直』の危険性を、学校や施設などで子どもの頃からしっかり伝えることが大切ではないか。症状に気づいた時点から対策や予防が可能だからです」。

 

しがらみなき第3の場で、「多様性」と出会う

イイトコサガシのワークショップは、「サードプレイス」という場で行ってこそ意義があるという。

「サードプレイスとは、『自宅、職場や学校ではない、しがらみなく試行錯誤しやすい第3の場』を意味します。お子さんなら、もし学校にいじめっ子がいれば、そこでは当然できない。また、同い年はライバル関係になりがち。子どもが参加するのであれば、彼らを寛容に受け入れてくれる多世代、年齢性別も様々な大人たちと行うことがベストです。外国人を交えるのもいい。思春期までに、ダイバーシティ(多様性)の体験を積んでいれば、もう怖いものはありません」。

 

参加者は、受け身ではあってはならない。

「本人に、『このスキルをマスターしたい!』という強い意欲があってこそ上達します。繰り返し訓練し、あせらずスモールステップを包み重ねていけばいい。たくさんの経験を積んで話の引き出しを増やすほど、会話が楽しくなるでしょう。僕は、全国を回って1万人にワークショップを行うことで実感したのですが、生きづらさの原因のほとんどは『経験不足』です」。

コメント

タイトルとURLをコピーしました