生きづらさは、心の「退化硬直」から

発達障がい
全国発信の本で、ワークショップのノウハウを公開

本が出版に至った経緯や想いを、冠地さんに尋ねる。

 

「10年前、ワークショップを100回超えた時点で講演会を行いました。その際、講談社さんが興味を持たれて、私たちを取材。以降、私がかかわる他の漫画企画など、いろいろお付き合いがありました。この本の企画は編集者の方が何度も社内で提案された末、今回、企画会議が通り実現に至ったようです」。

 

「この出版は大きな意味があります。今までワークショップに参加しないと様子が分かりませんでしたが、これを読めば内容や目的が一目瞭然。講談社という大きな看板で全国発信されることで、少しでも多くの方が関心を持ってくれればと。この本はワークショップのノウハウに重点を置いており、とても素晴らしい内容に仕上がりました。ただ、私は、このワークショップに参加できないほどに生きづらさを抱えた人へのメッセージも入れたかった。しかし、内容をまとめてくださった編集者さんは、趣旨がぶれてしまうとそこのところはカットされました」。

 

このブログでは、カットになったところを存分に語ってもらうことにした。

 

コミュニケーションの「退化硬直」がもたらす症状

「生きづらさを悪循環させる根源は、コミュニケーションの『退化硬直』にあります。『人と接するのが苦手で、面倒くさいから、僕は一人でいい』と閉じこもっていると、どんどん退化硬直して会話力が下がり、自分の言いたいことが言えなくなる。試さない、自分の感情を出さない、他者と交わらないという生活習慣が続くと、どのようなことになるか」。

「集中力が維持しにくくなる。他者と一緒にいるだけで疲れやすくなる。本来気づきの宝庫である違和感を『面倒臭い』など良くないものに思ってしまう。自分の、そして他者の否定的感情に対して免疫力が低下する…。この状態を放置していくと、成長の芽がつぶされていきます」。

 

「退化硬直」というのは、冠地さんの造語だ。「心の退化硬直」と言い変えると、私にはイメージしやすい。生き生きと活発に働く伸びやかな心が、人と交流せず、外に関心を閉ざすことで、干からびコチコチコになっていく…。

 

冠地さんは、病に例える。

「例えば、体質的に糖尿病になりやすい人がいます。その人が、医師の指示に従って、食事制限し、運動し、薬をこまめに飲むなど、予防に努めれば発病しません。その体質が分かっていながら不摂生したり運動しなければ、当然糖尿病になります。生きづらさを抱えている人は、元々『退化硬直』になりやすい体質を持っているといえます。だから、そうならないよう、人と積極的にかかわるという意識的な努力、つまり予防を行わなければなりません。その一つとして、イイトコサガシのワークショップをぜひ活用してほしいのです」。

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