ペアレント・メンターが、親を支える

発達障がい

「夢」を実現するための一歩を後押し

日笠さんは、会の活動の他に、「ジョブコーチ(訪問型職場応援助者)」として障がい者の就労支援も行っている。

 

「障がい者採用でも、就職後に不具合が生じることはよくあります。できないことを叱責され続けるなど、厳しい局面も散見します。これは、作業の段取りが苦手などの特性を、事業所が十分にご存じないことも多いので、それらを説明し、分かりやすい仕事の流れの提案や実施を手伝います。その方に分かりやすい伝え方なども示します。すると少しずつ自走して働けるように」。

 

知的に優れた発達障がいの子には、また別のしんどさがあるという。

 

「得意を生かして大学などに進学を叶えたけれど、卒業後のキャリアにつながることが難しいことがあります。

就労移行支援機関に勤務していた時、発達障がいのAくんにかかわりました。彼は美術系の大学で、絵の才能があり、動物のイラストをたくさん描き、絵本も創作しています。絵の仕事は半ばあきらめ、障がい者枠で就活していましたが、『どこの会社の面接にも、ポートフォリオは持って行ってみよう』と助言をしていました。すると事務職で応募していた保育園がAくんに興味を示し、広報誌のイラストレーターとしてパートで採用してくれたのです。まだ絵だけで生計を立てられるわけではありませんが、第一歩です。

もう1人のBくんは、『撮り鉄』の趣味が高じて全国を駆け回っているそうです。自主制作した列車と四季の風景のカレンダーが事務局にも貼られていました。その作品は、プロ級です。

多くの場合、『好き』は必ずしも『就労』にはつながりません。過度な期待を持てば、人生最初の時期に、つらい挫折を味わうことになるでしょう。『仕事』と分けて、『好き』を生涯の楽しみにすると自分の支えになります。そのことが、むしろ大切だと感じます」。

 

発達障がいの子が自立するとは、どういうことだろうかと、最後にうかがう。

「一人でがんばる、ということでなく、自分の力に余るところの助人を増やしていくことではないでしょうか」と、日笠さん。

それは、私も含む、すべての人に当てはまる。

(文責/ライター上田隆)

 

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