ペアレント・メンターが、親を支える

発達障がい
1人1人の「成育環境マップ」をつくる

人材も予算も十分とはいえない中、「ねっとワーキング」では、受託事業にとどまらない独自のサポートも展開している。

 

「サポートブック(成育記録)」の作成は、好評だそうだ。1ページにつき1歳分、保護者自身が記録する。一番大きな項目は、「好きなこと」「得意なこと」などで、その子の魅力を伝える。「家族・親戚」「保育・教育」「支援センター」「医療・療育」は、現時点での成育環境マップだ。一番下には「困っていること」「こうなりたい、また、希望すること」を書くそうだ。

「毎年記録してファイリングすることで、将来の進路選択や、制度利用に役立てる資料ができます。その子の『トリセツ(取り扱い説明書)』をつくる『ネタ集め』みたいなものですね(笑)」と日笠さん。

「青年期で発達障がいと気づいた人の中に、ご自身のプロフィールを全く書けなかった方がいらっしゃいました。家族とも疎遠になって、友人もいないし、医療も支援も受けていないことが判明…」。

サポートブックは、当事者の「人生におけるライフライン」を構築する手がかりになるマップであるようだ。

 

企業見学会では、就労の場へ会員が、実際に足を運んで学ぶ。足利市にあるココファームというワイナリー(ワイン製造する所)を見学。農業と福祉と連携して、障がい者の雇用をつくり出している先進的な職場は共感を呼んだ。

月1回に開催される「青年期の集いの会」は、相談者の子で高校生以上が対象。発達障がいでありながら働く若者たちが、職場や将来の悩み、困り感、夢など語らいながら親睦を持つ。メンターのお子さんも多いという。

親と一緒に支えてきた子を、どのように次のかかわりに「つないでいくか」が、会の活動の根底にあるようだ。最大の課題は、やっぱり「就労・自立・親のなきあと」。

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