構想あり!「地域と福祉をつなぐ複合施設」

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「未来福祉施設プロジェクト」で、企画案を実現したい

2022年4月に入ったので、まだ1年も経ちませんが、当初からワーカーズコープに持ち込んだ企画書があるんです。常に持ち歩いていて(企画書をカバンから取り出す)。「理想」なんですが、ぜひ実現したいんです。

 

タイトルは、「地域に開かれた複合型福祉施設―Clover Fusion クローバーフュージョン」。表紙には、「゛ 困っている人”が困った人”にならない社会を目指して」という言葉も入れました。福祉業界ではよく言われることですが、ずっと自分の中にあるテーマなんです。

 

内容は、「地域に開かれた複合型の福祉施設」をつくるというもの。建物は、平屋が理想。機能としては、①地域と福祉の交流スペース、②子どもスペース、③高齢者+障害者スペースがあること。

具体的には、

①地域交流が容易なオープンな場所に。「カフェスペース&B型作業所」「シェアキッチン」「物販・レンタルボックス」「地域活動ブース」を設置。建築的には、自然に区切られ心地いい場所に。

②子どもたちが中心に集うフロア。「学童クラブ&フリースペース(放課後等デイサービス)」を入れて、調理場もつくる。

③高齢者と障がい者のグループに分けた寮・小規模グループホームに。職員が就労できる施設でもある。

 

空間的には、各事業所は壁で区切られず、目線でお互いが感じられるつくりに。すべてがフラットで、訪れた人たちが交流しやすくする(寮などのプライベート空間以外は)。

 

実際に困っているお子さんや障がい者・お年寄り、彼らを支援する人、地域の人が顔を合わせて交流してほしい。すると問題や課題が、地域社会に理解され、共有される。多様な業界や人材が交わることで、何か新しいことや別の解決策が生まれることも期待しています。ワーカーズコープの「団会議」のように、定期的に、施設内で活動する各団体の関係者が集い、議論することもいいでしょう。また、ボランテイアや就労の窓口もつくり、地域活動や福祉業にかかわりたい人たちに、経済的にも安定した場を提供できればと。こうしたすべては、「施設」という拠点つくることで可能になると考えています。

 

この企画書は、2021年、日本財団「未来福祉施設プロジェクト」による「建築から開かれた福祉を考える」の企画集募に触発され、まとめたものです。建設費の助成金は3億円(次回からは5億円に)。今までの福祉施設は、「地域に開かれた…」と言いつつも、利用者は身内に限られがち。パン屋やカフェをつくったとしても、商品やサービスの工夫はおざなりに。それでは、地域の人たちは足を運んでくれません。しかし、同プロジェクトでは、地域を巻き込むために、福祉色の強い施設でなく、オシャレなカフェをつくってもいい。まさに、自分がやりたいと思っていたことだったんです。

 

ワーカーズコープにこの企画書を出しましたが、入所したのは4月、募集は6月で、間に合うはずもなく。また、応募条件には、福祉施設の運営経験が1年以上必要で、個人がいきなり申請しても通らない。設計者の設計プランや場所の選定も必要なので、応募はまだまだ先に。ワーカーズコープのメンバーや組織に協力してもらいつつ、できることからやるつもりです。まず「カフェスペース&B型作業所」「物販・レンタルボックス」を立ち上げて運営し、将来、建設した施設に移すことを目標に。

 

「福祉」が「地域」と、日常的につながっておく大切さ

自分が福祉の仕事にかかわるとは思いもしませんでした。元々はモノづくりに関心がありまして。キッズサポートの前身になる団体を立ち上げた頃は、子育てママ向けに、防災頭巾のカバーを縫う内職の発注組織をつくろうとしていましたし。

 

福祉のことは、日々学ぶことばかり。最近も、地域と福祉とのかかわりの大切さを、身を持って知りました。今私が勤めるワーカーズコープの青井でのことです。ある精神障がいを持つ若い女性が、ひどい精神不安に陥り、5分に1回はパニックに。職員のスキルでは、太刀打ちできない。「若年認知症」ではないかと疑っていると、家族からもSOSを受けました。保健師さんに動いてもらい、病院の診察を受けるも、「認知症」の診断が出ない。薬を処方してもらいますが、症状は変わらず。入院もできないので、日曜日の居場所がないことに。休日は、職員も対応できません。

 

困り果てて、「何とか手はないか」と、経験豊富な大山光子さん(あだち子ども支援ネット代表、vol.15・32)に相談したんです。「今日の今日、そんなの言われても、できるわけないでしょ! ご近所に、誰かその人とつながっている人はないの?」と尋ねられるので、「いいえ、ないんです…」と答えます。「ダメじゃない、そういうの、つくっとかないと!」と叱られました。続けて、「お年寄りにしたって、『あのおばあちゃん、最近、なんか怪しいね』となったら、ご近所のお節介おばさんたちみんなで支えてるんだよ! あなたたち福祉の人も、周りとつながって、いざというときは助けてもらわなきゃ」とも説教されて。「なるほど、そうだなぁ」と反省しました。

 

身近で起きている事件に焦燥感

2020年、足立区西新井で起きたことですが、若い女性が、生後間もない娘を放置し、死亡させた事件が報じられていました。福祉の仕事にかかわり、しかも同じ区で活動しながら、こういう親子に気づけなかったことが、残念というか、悔しいというか。もし、彼女たちが、十分な支援が受けられていれば、こういう事態にはならなかったかも。ニュースでこうした事件を目にするたびに、もういても立ってもいられない…という気持ちに。

 

やはり、提案している複合施設をつくり、地域と福祉と当事者をつなげることで、こういう事件が少しでも解消できる街になればいいのにと強く思います。そのきっかけとなる「キッズサポート」の「夏祭り」も存続させたい。

 

気づいたことに声を上げ、解決していく「居場所」を

子どもたちは、グレーだなんだと言いながら、立派に成長しました。上の子は一級の資格まで取得して車の整備士となり、下の子はIT系の仕事につきました。共に大手企業に就職ですることができ、すごいなと。自立するわが子を送り出し、今、私は、家族と離れて暮らし、自活と夢の実現のために働いています。

 

「結局、あなたは何がしたいの?」と、いろんな活動する私にあきれて、家族が尋ねたことがあります。自分の中では、筋としてつながっているのは、お話した通りです。でも、心の奥底で切実に求めているのは、「本当の自分の居場所」なのかもしれません。その「居場所」って何かと考えたとき、たぶん「気づいたことに目をつぶらなくていい場所」なのかなって。気づいたことを声に出して、「みんなで何とかしよう!」と力を合わせる場所をつくっていきたいです。

 

(聞き手・ライター上田隆)

 

 

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