被災地支援の「現場力」で、子ども食堂を

子ども食堂
CAで鍛え上げた仕事力を、どう生かすか模索

私は「ピース食堂」の活動の合間に、「ピースプロジェクト」のスタッフとして、災害の被災地にも入っています。元々CAだったので、あちこち移動することは苦にはなりません。

 

なぜ、違う業界に?…1時間では話しきれない! (笑)

 

長年、日本航空に勤めていました。愛着ある職場でしたが、財政破綻(2010年)と事業再生の中で、2012年、多くの仲間と会社を離れました。その後、朝日航洋の名古屋ビジネスジェット事業部に声をかけられ、契約社員に。機内食サービスのオーダーがあれば出向く仕事です。生きていく手段は、別に探さなければならない。

 

ちなみに、日系のCAは、厳しく鍛えられます。緊急事態に備えるための要員として、吐くようなきつい訓練を経ているので、気持ちも強い。目的を達成するためには、手段も労力もいとわずに頑張る。フライトすれば、限られた時間、限られた空間で、瞬時の判断を問われます。ある上司は、冗談で「着陸」するか「墜落」するかの職場とも。そんな緊迫感ある所で、違う個性が集まって大きな力を発したことは、私にとって得難い体験でした。

 

かつての仲間とは退職後も交流があり、互いを気にかけていました。フルで働けない子育て中の者もいて、「自分たちの能力が無駄になってる」という焦燥感もありました。そこで「一緒に何かしないか」となり、同期を中心に、みんなで高級ラウンジをつくったんです。接客は得意でしたから。

 

当時、私も働き出したそのラウンジに、商談で来店したのが代表の加藤でした。雑談している時、本業のイングラムとは別に「ピースプロジェクト」の名刺を出されので、「おや?」と思ったんです。「高校生の愚息がいまして、何か活動させたいと思ってます」と話すと、「うちに連れてくればいいじゃないですか」とお誘いを受け。それで、南相馬の「子どもまつり」に。ボランティアとして初めて参加したんです。

 

被災地の支援現場で見出した「やりがい」

2019年、台風19号で、宮城県丸森町が阿武隈川の氾濫で水害が起きます。ピースプロジェクトから、「矢沢さん来れますか」と声をかけられまして。当時、会員になっていましたので、「じゃ、行きますよ」と。

 

現場に着くと、被災地の町が小さすぎて、自衛隊がまだ入れていない状況でした。泥だらけの駐車場にテントを張って、スタッフが鍋をかき回してる。「ああ、炊き出しって、こういう活動なんだ…」と思いましたが、同時に「えーっ!」と。若干男性陣が多いので、調理器具の扱いがずさんなんです。また、駆けつけたボランティアの方は、主婦の方、子育てが一段落した方などの女性たちが多く、男性スタッフがうまく対応できていない。一方私は、職場でずっと女社会でもまれて生きており、「あーっ、これ得意だぞ」と。ちょっと出すぎたかもしれませんが、この性格なので、「はい、ちょっとすみません~」 と入り、「じゃ、これ洗って!」「これ、切って!」と、仕切らせていただきました。彼女たちはモチベーションが高く、日々の家庭の食事を守ってきた人たちなので、動き出せば仕事が早い。

 

ちょうどその頃、ラウンジがコロナ禍で閉鎖。辞めることとなり、「職を探さなければ」と、いろんな人に相談します。そんな中、加藤代表が「今年、ピースプロジェクトは認定NPOを取得したいんだけど、事務作業できる人を探してる。うちに来ては」と言ってくださいました。CAになるのは、子どもの頃からの夢。やりたかったことを一度やりきってしまうとうと、次の目標がなかなか見つからないもの。「ああ、これはいいタイミング」と二つ返事で入社したわけです。今では、こちらがメインの仕事に。

 

ボン・ジョヴィの地域食堂にヒント

『ピース食堂』では、ゆくゆく、食堂の中に子どもたちを呼び入れたいです。食べながら、好きな子のことでも、体験したキックのことでも、何でもいいから話して欲しい。「ここに来たら、楽しいし、美味しいし、話せる人がいるし」という場になればなと。世代の違う人たちと接するのも、その子の人生にとって貴重な経験になるはずですし。

 

ところで、ボン・ジョヴィってご存じですか? アメリカのロックバンドで、私、大好きなんです。彼が、ニューヨークでレストランを開いたんですね。それがいわゆる「地域食堂」なんです。NYやブルックリンで有名な料理長を雇って、ちゃんとしたコース料理を出す。予約のとれない名店のメニューです。ただ、ここでは、「味わった料理に対して、自分に見合ったお金だけ置いていってください」というのがルール。「余裕のある人は、それなりに。そうでない人は、今日の皿洗いを手伝って」と、ボン・ジョヴィ自身が自ら皿を洗うわけです。美味しい料理への対価を、自分の得意とするものでお返しする。食事後、技師さんが、厨房の不具合を無料で直す。私だったら、接客のウェイトレスをしてお客さんにくつろいでもらうかな。

 

『ピース食堂』でも、そんなやり方を試してみてもいいかもしれません。話をしているうちに、いろいろな可能性があるなって…(笑)。

 

(聞き手・ライター上田隆)

 

 

<問合せ>

「ピース食堂」

主催/NPO法人ピースプロジェクト

TEL: 03-5823-0035

e-mail :webmaster_pp@peace-project.net

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