足立の職業人が、中学生に伝えたこと

教育

<インタビュー・泉明美さん>

講師選びは、学校を支えてきた地域活動の人脈で

例年でしたら、2年生の秋に、職場体験を3日間行っています。しかしコロナの影響で、今年は難しいだろうということで、夏休み前の段階で中止しました。そこで花保中では、職業体験に代わるものとして、足立区で活動されている職業人を招き、直接お話をうかがうことにしました。生徒72人が一堂に会して体育館で開催するとなると、質疑応答がやりにくい。そこで6グループに分け、お1人の講師の方と数名の生徒が、1つの教室で対面できる形式に。

 

講師選びは、本校とつながりのある方のお力を借りました。特に、「開かれた学校づくり協議会」元会長で、(2021年)4月にスタートした「コミュニティ・スクール」会長の大山光子さん(vol.15)には、とてもお世話になっています。花保小、花保中、そしてこの地域全体の子ども支援のことを、精力的にやられている方です。あれだけ長く、ぶれずに活動されてるのはすごいというか。NPOカタリバさんも紹介いただきました。コミュニティ・スクール活動の一環で、毎週水曜日の放課後に、希望した生徒を集めた放課後自習室が好評です。今20人ほどですが、冬休みも開催されるとのこと。学校としては、とても助かっています。

 

東武鉄道の沼田さんは、同校の先生のつながり。メニサイドの中里さんも、ご主人はコミュニティ・スクールの役員の方ですが、コロナ禍では音楽活動で助けていたただきました。感染のきっかけになると合唱ができずにいたとき、中学生用の「合唱用マスク」をつくってくださったり、「紙布マスク」を寄贈してくださったりしました。

 

「職場体験」は、コロナ禍で流れてしまった

「中学生の職場体験」は、東京都の施策で、本校でも長年(注/2005年度、文部科学省がスタート)と行っています。これまで、高齢者施設、保育園、ガソリンスタンド、マクドナルド、消防署、動物園、上野動物園、工場、綾瀬駅など、本当に多岐にわたる企業や事業所にご協力いただきました。

 

本校もそうですが、多くの学校では、「毎年この時期にはお願いします」というところが

あります。その上で、生徒の傾向から新しいところを開拓も。ただコロナで2年の空白ができてしまいました。次に始めるのは大変だと思います。

 

職場体験がきっかけで、実際その職業を選択するケースもありました。美容院で働いてみて美容師に、保育園で園児に接して保育士になった子たちがいます。以前に勤務していた学校では、警察に行った後で「絶対に婦人警官になる」と決意し、実現した子がいました。

 

子どもたちに、「夢」や「希望」を伝えるということ

今回の講師の方々は、普通の職業人というよりは、いろんな意味で「普通」ではない(笑)。

保育士の橋本さんは、たくさんの肩書があって、とても多岐にわたる仕事をされている。私は、ずっと教員しかやってこなかったので、もう驚くばかりというか。本当にいろんな経験をされてきた方々のお話は、子どもたちに強い印象を残したと思います。

 

建築家の工藤さんが映画をご自身でつくられている話を聞いたある子が、「僕も、ぜひ映画に出たい」と言ったそうです。すると「今度役があれば、連絡するよ」と名刺を渡してくださった。その子はもう大喜びで。文化祭の劇で主役をやって、興味を持っていたんですね。

 

仕事をするのは楽しそうだな、夢や希望を持とう、という気持ちを、子どもたちに持ってもらえることが、何より一番!

 

(聞き手・ライター上田隆)

 

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