「いていい」場所、つくる

ネットワーク

<インタビュー/大山光子さん>

各々やりたいことを応援する「あだち子ども支援ネット」

もともと「あだち子ども支援ネット」(以下、「支援ネット」)は、私が長いことやってきた、子どもと一緒に過ごす「居場所サークル」の集大成みたいなものとして始めました。ベースになっているのは、「こども”ど真ん中”プロジェクト」での学習・研修・講演会などの、4年間の活動です。

 

「支援ネット」を立ち上げたのは、ネットワークづくりが下手な足立区を見かねたからです。団体をつくっても、旗を振る人が仕切ってしまい、どうしても閉鎖的になる。この気風を壊して、各団体がそれぞれ悩むところを共有し、協働・協創していかないと、前に進めないだろうと。そこで「行政主導で、団体が連携できるネットワークづくりをしてください」と、区に何度もお願いしました。でも「できません」とのこと。「じゃあ、自分たち民間がやったらどんな感じになるか、やってみよう」となりました。区からは「実績がないから、補助金は出せません」と言われたものの、「ああ、いいよ。いらねぇ!」と怖い物知らずで踏み切った。たいしたことができなければ、1、2年で消えてもいいと思ってはじめたこと。

もう4年目になりました。足立区内のネットワークづくりの意識は、まだまだ育っていませんが…。

 

これまで、子どもにかかわるさまざまな問題を取り上げてきました。通底する基本テーマは「家族」です。悩みを抱える子どもたちの現状を見ていると、やっぱり背景にある家族、家庭生活のバランスが崩れていることに原因がある。しかし、「家庭」全体を取り上げる団体が意外にない。「親子関係」「一人親」といった個別テーマで活動する団体はありますが。そこで「『家族』丸ごとを焦点にした活動をしたい」と公表すると、いろんな人が集まったというわけです。

 

平島さん(ルポvol.11)は「私なんかさ~当事者よ」と「ヤングケアラー」のことを持ってきた。町田さんは「家族問題やってます」と、「ステップファミリー」「里親」の活動を携えてきた。「一緒にやる?」と言うと、「やりましょう」となった。「支援ネット」にかかわる人たちって、昔からの知り合いというわけではないんです。動き始めたところに、それぞれの分野からずっと抱えてきたものをそのまんま持ってきて、つながった人たちばかり。誰かが「これやってみたい」と言えば、「やってみれば」とみんなで励まし、「こんなことできますよ」と協力してくれる人が出てくる。私がタテマエとして代表理事をやってますが、リーダーはいません。ここは、各々やりたいことを応援する仲間の集まりなんです。

 

現在では、こども・子育てはもちろん、若者、医療、介護、終末など、人生の課題全般に広がって、行政連携も視野に入れた民間ネットワークを目指しています。

 

「未来につながる実験室」、活動の集大成として開催

2021年3月27日、足立区役所庁舎ホールで、『未来につながる実験室』を開催しました。

さまざまな団体と手をとり、アート企画、映画祭、事業報告など、盛りだくさん。「支援ネット」の活動の集大成でもあるけど、「『集大成』の実験」と言ってもいいかな。中身は、2015年から「こども”ど真ん中”プロジェクト」でやってたことの延長で、「団体枠を超えて、いろんなことをテーマに、みんなで動こう」ということです。子どもたちの発言権もちゃんと認めて、子どもたち自身にパフォーマンスさせてみようと。「妖怪ピーク」さんの、音にまつわるワークショップなんか、とても面白かった。他のところのイベントは、たいがい大人たちが全部つくりこんでしまいますが、ここの「実験室」では何が出てくるか分からない。最後まで参加者に種明かしはせず。感じて、体験するのは、そちらだよと。子どもたちの感性の中にあるアート性を、それこそ掘り起こす。

 

…事業報告会のとき、ジョーさん(冠地情さん、ルポvol.5)が、飛び入りして驚いた…私が呼んだわけではないよ。このイベントで招いた人はほとんどいなくて、みんな勝手に来た人ばかり(笑)。彼が問題提起した「居場所」について、どう思うか?

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